電話だけではもう限界?今、カスタマーサポートがビデオ通話を導入する理由

近年、カスタマーサポート業務の現場では、従来の電話やチャットだけでは対応が難しい複雑な問い合わせや、顧客の期待値の高まりといった新たな課題が浮き彫りになっています。
操作トラブル、初期設定ミス、機器の誤認識など、視覚情報がない状態では解決が難しいケースが増えているのです。その中で注目されているのが「ビデオ通話」の導入です。

本記事では、従来型の電話サポートの課題を整理しつつ、音声通話とビデオ通話を組み合わせた新たな顧客対応の在り方を紹介します。
対応スピードと理解度、納得感を同時に高める“映像を使った伝わるサポート”の活用術を、実際の導入事例とともにお届けします。

電話対応に限界を感じる3つの理由

説明に時間がかかり、オペレーターの稼働がひっ迫

電話越しに、顧客が見ている状況を正確に言語化し、それをオペレーターが想像しながら対応する。
このやり取りは双方にとって非常に労力がかかります。特に機器の設置や障害対応などでは1件あたりの対応時間が30分以上になることも珍しくなく、処理件数の低下や折り返し対応の増加を招きます。

言葉だけでは伝わらず、顧客との認識にズレが生じる

「緑のランプが点滅している」「左のボタンを押したけど反応がない」「画面が固まって動かない」「音がまったく出ない」といった顧客の説明に対して、オペレーターは同じ製品を持っていない場合も多く、状況把握に苦労します。
細かなニュアンスが伝わらず、やり取りの中で誤解が生まれやすくなります。

問題解決までの工数・ストレスが大きい

会話のキャッチボールが複雑化するほど、顧客もオペレーターもフラストレーションを感じます。
「また同じことを聞かれた」「何度も言い直した」といった声は、対応履歴の確認不足だけでなく、言語コミュニケーションの限界が原因であることも多いのです。

チャット・チャットボット対応の盲点

顧客が「説明できない」問題に直面したときの限界

スマートフォンの画面が真っ黒、複雑な配線が絡んでいる、電源が落ちた状態から起動しない——このような問題は、文字で正確に伝えるのが難しく、オペレーター側も的確なアドバイスを出すのが困難になります。

タイムラグが大きく、満足度が下がるケースも

チャットは同時に複数人を対応できるという利点がある一方で、やり取りが長引くと「放置されている」と感じさせる危険性があります。
入力時間や読み込みの待ち時間も、顧客にとっては“進んでいない感”につながります。

チャットボットでは感情面のフォローが難しい

チャットボットやテンプレート対応では、顧客の苛立ちや不安には応えきれません。
「ちゃんと状況を理解してくれているのか」「本当に親身に聞いてくれているのか」という疑問を持たせないためには、感情のこもった人間の応対が不可欠です。

ビデオ通話がもたらす3つの効果

“見せながら話す”ことで説明時間を短縮

カメラ越しに製品の現物やPC画面を見せながらやり取りすることで、「このボタンです」「その表示です」と即座に確認・誘導が可能になります。

特に配線や操作系のトラブルでは、電話の半分以下の時間で解決できるケースもあります。

顧客の不安・苛立ちに表情で寄り添える

対面に近い環境を再現できるため、「大丈夫ですよ」「今一緒に確認していますので安心してください」といった表情やうなずき、声のトーンが安心感を生みます。トラブル時ほど、“人感”のある対応が重要です。

オンサイト訪問を削減し、コスト効率も改善

訪問が必要なケースでも、まずはビデオ通話で一次切り分けを行うことで、「実は簡単な設定ミスだった」「すでに解決できていた」といった見落としを早期発見できます。
訪問件数の削減は、移動コストの低減だけでなく、スタッフリソースの最適化にもつながります。

音声通話とビデオ通話の適材適所な使い分け

音声通話:即時対応に最適

電話はアプリ不要・操作不要でつながるため、シンプルな問合せや予約確認など「短く済む内容」には最も効率的です。

音声のみの対応でも解決できる範囲は広く、緊急性の高い対応では有効な手段となります。

ビデオ通話:視覚が必要なケースに最適

製品の不具合、操作手順、画面表示の違和感など、“見えれば早い”というシーンではビデオ通話が最適です。
顧客も「画面を見て説明してもらえる安心感」「手順が正しいと分かる納得感」が得られ、満足度も向上します。

顧客属性や課題の複雑さに応じたチャネル設計

高齢者には電話、若年層にはLINE通話やビデオチャットなど、顧客層に合わせてチャネルを選択する設計が求められます。トラブルの深刻度や顧客のデジタルスキルに応じて柔軟に切り替えることが重要です。

導入企業の事例:変化の実感

業務用機器メーカー:設置ミス対応が半減

新設置された機器の設定で「うまく動作しない」という問い合わせが頻発していたメーカーでは、サポートの第一手段をビデオ通話に変更。

現場を映してもらいながら確認することで、電話では15分以上かかっていたやり取りが、平均7分に短縮されました。

BtoCサービス企業:クレーム削減に直結

通信サービスを提供する企業では、「説明された内容と違う」というクレームが多発していましたが、重要な説明をビデオ通話で行い、資料も画面共有しながら進めることで誤認が大幅に減少。
録画記録もクレームの抑止に役立っています。

家電量販店:売上アップにつながる活用

修理相談にビデオ通話を活用したことがきっかけで「そのまま別製品を提案→購入」につながるケースが急増。
サポートと販売が連動する新たなチャネルとして、社内での活用範囲も拡大しています。

導入時の注意点と設計のコツ

操作負担を最小限に

「アプリインストールなし」「URLをクリックするだけ」など、顧客に余計な手間をかけない設計が理想です。
リンクの事前送付や、音声通話からスムーズに切り替えられる導線を用意しましょう。

オペレーター教育とマニュアル整備

映像があるからこそ気をつけるべきポイント(表情・服装・背景・カメラ角度、照明、通信環境)があります。
特に、逆光や暗い部屋では表情が読み取りにくくなるため、適切な照明環境の整備が求められます。
また、接続が不安定な場合は音声や映像が途切れることもあるため、Wi-Fiや通信環境の事前確認も重要です。

さらに、トラブル対応時に“見てはいけないものが映る”などのリスクを避けるためのガイドラインも必要です。

プライバシーと録画運用のルール化

録画可否、保存期間、利用範囲を明記したうえで顧客の同意を得ることが大前提です。
録画に抵抗のある顧客には録音のみの選択肢を提示するなど、柔軟な対応が求められます。

まとめ:つながり方で差がつくサポートへ

顧客が求めているのは「解決してくれる人」だけでなく、「わかってくれる人」です。音声と映像を活用し、“伝える”から“伝わる”サポートへ。

電話だけでは限界が見え始めた今、顧客の状況やニーズに合わせてチャネルを選び、最良の“伝え方”をデザインすること。
それが、これからのサポート業務の質を一段階引き上げる鍵となるでしょう。

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今回の記事はここまで。
また次回、面白い内容をお届けできるようしたいと思います。楽しみに!
エージェンテックのミヤザキでした。


筆者紹介
宮崎 裕明
株式会社エージェンテック / マーケティング部 エヴァンジェリスト

宮崎裕明

産業機器の開発20年を経て、開発のプロセス改善コンサルティングに従事。その後はスマートデバイスを活用したソリューションでお客様の課題解決支援に奔走し、VR元年から360度パノラマVRコンテンツ制作サービス立ち上げに参加する。
自身でも5,000枚以上
360度パノラマ写真を撮影してきた経験をもとにコンテンツの重要性の啓蒙活動を行い、その一環としてYouTube・本ブログにて「教えて!VR先生」を連載。
2024年度4月からは、AIをテーマにYouTube・本ブログにて「教えて!AI」連載中。
現在は、AIの活用を中心とした活動のほか、スマートデバイスのフィールド業務におけるDX化の普及のため、さまざまな業界の支援へと活動の幅を広げている。

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