ChatGPT一強は終わるのか。Googleの最新AIが“写真編集”と“現場再現”を実務レベルに引き上げた

生成AIはここ1〜2年で一気に普及しました。文章の要約、議事録の整理、アイデア出し。すでに仕事の中に取り入れている方も多いでしょう。一方で、画像生成AIについては「遊び用途」「見栄えはするが実務では使いづらい」という評価が根強かったのも事実です。文字が崩れる、修正が難しい、そして“それっぽい”が“使える”には届かない――そう感じていた方も多いはずです。

ところが今回の動画で紹介されていたGoogleの最新AIは、画像生成の価値を“制作”から“編集”へ、さらに“現場再現”へと押し広げていました。中心となるのは、高性能な言語モデル「Gemini 3.0 Pro」と、その理解力を土台に動く画像生成AI(動画では「Nano Banana Pro」として紹介)です。重要なのは、単に画像が作れるという話ではありません。生成後の編集能力、そして地図や座標を理解して「指定した場所にいるような写真」まで作れてしまう点が、従来と決定的に違います。

まず押さえたい:Gemini 3.0 Proは“頭脳”、画像AIは“手足”

Gemini 3.0 Proは、Googleの大規模言語モデルの高性能版として扱われています。ここで注目すべきは、単なる文章生成の賢さだけではありません。動画の文脈では、Geminiが「画像編集や合成の指示を理解する頭脳」として機能している点が繰り返し語られていました。

画像生成AIは、単体では「雰囲気を作る」ことは得意でも、「こちらの意図通りに修正する」「同じ人物を同じ人物として保つ」「背景や構図を崩さずに不要物だけ消す」といった実務的な要求が苦手でした。今回の仕組みは、そこを“言語理解の強い頭脳”で補い、指示に対して編集精度を高めている、というイメージで捉えると理解しやすいでしょう。

仕事で効くのは“作る”より“直す”:人物や不要物を消せる編集力

動画の中で特に実務に直結すると感じたのが、写真編集としての使い方です。例として紹介されていたのは、「人物を消す」「パソコンや本などのアイテムも消す」といった写り込み除去。これが、背景のレイアウトや雰囲気を崩さずに成立している点が強調されていました。

散らかった部屋の写真
不要なものを削除した部屋の写真

たとえば、社内報や採用広報、イベントレポート、営業資料に載せる写真などで「この人が映っているから使えない」「机の上が散らかっていて見栄えが悪い」といった理由で没になる素材は少なくありません。従来は画像編集ソフトでの手直しが必要で、担当者が自力でできなければ外注になる領域でした。

それが、「この人物を消してください」「このアイテムも消してください」と自然言語で指示するだけで、違和感の少ない形に整う可能性がある。ここは“画像生成”というより、“写真の使い回しが効くようになる”という意味で、現場の価値が大きいといえます。

さらに動画では、部屋の写真を一度“空っぽ”にしてから、家具を入れて模様替え案を出す、といった使い方も紹介されていました。これも本質は「不要なものを撤去する編集」→「必要な要素を追加する合成」という流れです。整理・片付け・配置替えといった作業の“検討コスト”を下げる方向に効いてくるでしょう。

ここが新しい:Google Mapの座標を使い「その場所にいる写真」を作れる

もう一つ、動画の中で印象的だったのが、Google Mapの座標(緯度・経度)を基にした“現場再現”のデモです。地図上の地点の座標をコピーし、「この男性が指定座標の代表的な建物を背景に自撮りした写真を作って」と依頼すると、まるでその場所で撮ったかのような画像が生成される、という内容でした。

GoogleMapから東京駅前の座標を入手
Geminiに写真を添付して画像生成を依頼
東京駅を背景にした画像を生成する

これが何を意味するか。言い換えると、AIが「座標=場所」を理解し、その場所に特徴的な建物や雰囲気を“背景として成立させる”力を持ち始めた、ということです。従来の画像生成AIは「東京駅っぽい街並み」など曖昧な指定はできても、「この座標の代表的な景観」をピンポイントに再現するのは難しかった領域です。

ビジネス視点で見ると、用途はいくつも考えられます。たとえばイベント告知用の“イメージ画像”を作る、観光・地域紹介の素材を作る、あるいは社内プレゼンで「ここが現地です」と説明する際の補助にするなどです。もちろん事実性が必要な用途(証跡や報道用途など)には慎重であるべきですが、企画や提案の“伝わりやすさ”を上げる素材としては強力です。

地図が作れる=案内が作れる:アクセスマップを“素早く整える”発想

座標や地図理解の延長として、動画では「最寄り駅からの行き方を含めた地図を作ってください」といった依頼で案内図を生成する例も紹介されていました。企業サイトのアクセスマップや、展示会の誘導図は、必須なのに作るのが地味に面倒なコンテンツです。しかも一度作って終わりではなく、会場変更や入口変更で修正が発生します。

ここでAIが活きるのは、“完成品を一発で作る”というより、“たたき台を高速に作って修正する”という使い方でしょう。動画でも、文字が崩れたり間違いがあった場合に、追加指示で直していく流れが示されていました。つまり「一発勝負」ではなく「会話で仕上げる」道具として見ると、現場に落とし込みやすいはずです。

結論:AIは「文章の相棒」から「制作と編集の相棒」へ

今回の話を“ChatGPTが古い”と単純化するのは正確ではありません。重要なのは、生成AIが文章だけでなく、写真編集や案内素材、説明図解といった周辺業務にまで実務化してきた、という点です。

特にインパクトが大きいのは次の2つです。

1つ目は、人物や不要物を消す、部屋を空にする、といった“編集”が自然言語でできること。2つ目は、Google Mapの座標を理解し、指定した人物がその場所にいるような写真を生成できること。これらは、これまでの画像生成AIが抱えていた「実務で使いにくい」理由を正面から削りに来ています。

AIに詳しくなくても構いません。まずは、社内資料の図解ラフ、告知素材のたたき台、写真の写り込み除去、アクセス案内のラフ作成など、“時間を奪われがちな作業”から試すのが現実的です。使える感覚が掴めた段階で、利用ルール(入力する情報の範囲、著作権・肖像権、社外秘データの扱い)を整え、チームに展開していく。この順序が、安全かつ効果的でしょう。

生成AIは、便利な流行ではなく、業務の制作工程そのものを変え始めています。関心がある方は、まず無料の範囲で触れてみるだけでも、仕事の見え方が変わるはずです。

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