こんにちは、エージェンテックのミヤザキです。
OpenAIが提供するGPTsは、自然言語処理技術の進化に伴い、従来のチャットボットやAIと比べて大きな進歩を遂げました。特に、外部APIとの連携が可能になったことで、ChatGPTの活用範囲が広がり、さまざまな業務やサービスとの統合が実現できるようになりました。
今回は、GPTsの基本から、外部APIとの連携方法、活用事例、注意点までを解説し、初心者でもスムーズにAPI連携の概念を理解できるようにサポートします。
GPTsとは?ChatGPTの新機能
GPTsと従来のChatGPTの違い
GPTsは、個人がChatGPTをカスタマイズできる新しい機能で、外部APIとの連携も可能です。
これにより、単なるチャットボットではなく、実際に外部データを取得し、リアルタイムな情報を基に意思決定や問題解決を行うことが可能になっています。
例えば、天気情報を取得するAPIを使用して、ユーザーの質問に対して最新の天気情報を提供したり、レストラン予約APIを使用して予約の手続きを進めたりすることができます。このように、GPTsは従来のChatGPTを大幅に拡張した新しい次元のツールです。
GPTsの利用開始手順
GPTsを利用するためには、まずOpenAIの公式プラットフォームにアクセスし、GPT-4やそれ以降のバージョンを選択する必要があります。
利用開始にあたり、特定のGPTを作成し、そのGPTに必要な外部APIとの連携機能を追加する手順を踏みます。
ユーザーは、自分のビジネスや個人プロジェクトに合わせて、適切なAPIを選び、GPTにそのAPIを操作するスキルを付与することで、より効率的にタスクを処理できるように設定できます。
GPTsに作成については、こちらの記事で詳しく解説しています。
外部APIとの連携が可能に
ChatGPTでの外部API連携のメリット
外部APIをChatGPTと連携させることで、AIの可能性が一気に広がります。API(Application Programming Interface)は、異なるシステム同士がデータをやり取りするための仕組みであり、これをGPTsと組み合わせることで、さまざまなアプリケーションと情報をリアルタイムで連携することができます。
カレンダーAPIを利用して予定を追加したり、支払いAPIを使ってオンライン決済を自動化したりすることが可能です。また、外部API連携により、企業の業務効率を大幅に向上させることができ、手動作業の負担を軽減します。
API認証方法の設定【API Key, OAuth】
APIをGPTsと連携させる際には、認証設定が必要です。
認証は、セキュリティを確保し、許可されたユーザーだけがAPIを利用できるようにするために行われます。主に使用される認証方法は、「API Key」と「OAuth」の2つです。
スキーマ設定でAPIリクエストをカスタマイズ
OpenAPI仕様に基づくスキーマ定義
GPTsは、外部APIとのやり取りを行う際に、APIリクエストの形式を定義する必要があります。
この際に役立つのがOpenAPI仕様です。
OpenAPIは、APIの設計とドキュメント化に使用される業界標準であり、APIのリクエストやレスポンスのフォーマットを統一するためのツールです。
GPTsを設定する際には、このOpenAPI仕様に基づいたスキーマを定義し、どのようなリクエストを送信し、どのようなデータを受け取るかを指定します。
GPTsの外部API連携活用例
天気情報取得APIの活用例
外部APIとの連携は、具体的なシチュエーションで非常に役立ちます。
最もシンプルな例としては、天気情報取得APIをGPTsに統合する方法があります。この連携により、ユーザーは特定の地域の最新の天気情報をリアルタイムで取得することができます。
「明日の東京の天気を教えて」といったリクエストに対して、GPTsが天気情報APIを呼び出し、最新のデータを基に「明日は晴れで、最高気温は25度です」といった回答を生成します。
このように、GPTsと天気APIの連携により、ユーザーは実際のデータを基にした信頼性の高い情報を得ることができます。
天気情報APIの「Open-Meteo」は、APIキーが不要で商用以外は無料で使用することができます。
インターネットの情報も豊富なので、外部APIのトライアルにはちょうどよいと思います。
レストラン予約APIの実装事例
もう一つの例として、レストラン予約APIとの連携があります。この連携により、GPTsがユーザーの希望に応じてレストランの予約を予約を自動で行います。
例えば、「今週末に東京でイタリアンレストランを予約したい」というリクエストに対して、GPTsはレストラン予約APIを使用して、空席情報を確認し、予約を代行することが可能です。
この実装により、ユーザーは自分でレストランの空席を調べたり、予約手続きを行う手間を省くことができます。
GPTs活用時の注意点
プライバシーとデータセキュリティの考慮
外部APIをGPTsと連携する際に注意すべきポイントは、プライバシーとデータセキュリティです。
API連携を行うと、外部のサーバーにユーザーのデータが送信されるため、情報の漏洩や不正アクセスのリスクが生じます。このため、利用するAPIやデータの取り扱いには十分な配慮が必要です。
特に、個人情報を含むAPI(予約システムや支払いシステムなど)を使用する際は、SSL暗号化や二段階認証などのセキュリティ対策を講じ、ユーザーのデータを安全に守ることが求められます。
エラー処理とレスポンスの確認方法
外部APIを利用する際には、必ずしも常に成功するわけではありません。
ネットワークの問題やAPIサーバーのダウン、リクエストの不備など、様々な要因でエラーが発生する可能性があります。そのため、GPTsを設定する際には、適切なエラー処理を行うことが重要です。
天気情報APIが一時的に利用できない場合、GPTsはエラーメッセージを返すか、別のデータソースから情報を取得するように設計する必要があります。
エラー発生時にユーザーが混乱しないよう、明確でわかりやすいフィードバックを提供することが大切です。
まとめ
GPTsを使って外部APIと連携することで、ChatGPTは単なるチャットツールから、実際にデータを取得し、実務的なタスクを自動化できる強力なプラットフォームへと進化しました。
天気情報やレストラン予約といったシンプルなAPI連携から、ビジネスの業務効率を向上させる高度な連携まで、活用の幅は無限に広がるのではと考えていますが、現時点ではどんな業務でも使える無料APIなどは限られており、また、実装するための知識も必要とするため、個人的には外部APIの活用はまだハードルが高いと感じられます。
しかし、業務によっては外部APIの活用による効率化を図れると思いますので、機会があれば、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか!!
以上、エージェンテック ミヤザキでした。
筆者紹介
宮崎 裕明
株式会社エージェンテック / マーケティング部 エヴァンジェリスト
産業機器の開発20年を経て、開発のプロセス改善コンサルティングに従事。その後はスマートデバイスを活用したソリューションでお客様の課題解決支援に奔走し、VR元年から360度パノラマVRコンテンツ制作サービス立ち上げに参加する。
自身でも5,000枚以上の360度パノラマ写真を撮影してきた経験をもとにコンテンツの重要性の啓蒙活動を行い、その一環としてYouTube・本ブログにて「教えて!VR先生」を連載。
2024年度4月からは、AIをテーマにYouTube・本ブログにて「教えて!AI」連載中。
現在は、VRのプロフェッショナルとしての活動のほか、スマートデバイスのフィールド業務における活用方法など、さまざまな業界の支援へと活動の幅を広げている。