
こんにちは!
VR先生!こと、株式会社エージェンテックのミヤザキです。
このブログは、VRに対するノウハウやVRの魅力、活用方法などを、エージェンテック社のSmart360を使って初心者の方にも分かりやすくお伝えしています。360度パノラマコンテンツの”おもしろさ”や”便利さ”などの魅力を感じていただければ幸いです。
質問も受け付けていますからお気軽にどうぞ!
今回は、360度パノラマVRカメラであるTHETAシリーズの最新モデル、「THETA X」のレポートをしたいと思います。
THETAシリーズは、360度VRカメラを手軽に楽しみたい一般ユーザ向け、つまり「コンシューマモデル」の印象が強いですが、このTHTEA Xは11Kの高精細画像を実現、解像度だけで考えればプロユースのモデルと言えるところまで進化しています。
画質や使い勝手の面で旧モデルのTHETA Vと比較しながら、実力を探っていきたいと思います!
進化を遂げたTHETA Xとは
2022年度にリリースされたTHETA Xは、CMOSイメージセンサー、メインプロセッサー、レンズユニット等すべてを新たに開発し、約4,800万画素相当の新規センサー搭載により、出力画素で最大約6,000万画素(60メガピクセル) に相当する高精細な 360度の静止画撮影が可能になっているそうです。
静止画解像度は11Kまでアップし、360度動画としては、5.7Kのリアルな360度動画を実現しています。
これまでのTHETAシリーズで最大の解像度を誇るモデルです。

THETAシリーズ最大の強み
THETA シリーズの最大の強みは、すべてを一新したことによる11Kの高精細な360度パノラマ静止画の撮影が可能になったことだと思います。
また、5.5K(約1500万画素相当)の解像度設定も可能で、撮影シーンに応じて使い分けることができます。本体の操作で簡単に切り替えられる使い勝手のよさも魅力の1つになっています。
5.5Kの方がノイズに強く、処理速度もアップします。
薄暗いシーンでの撮影や、撮影枚数が多い場合は5.5Kで!それ以外の明るい環境などでは11Kの高精細画像での撮影がオススメです!
THETA Xが得意とする利用シーン
個人的推測になりますが、THETA Xのスペックや機能を見る限り、コンシューマと言うよりもビジネスユース、具体的には施設・不動産撮影などをターゲットにしていると思います。
360度パノラマ静止画を利用したVR施設紹介など静止画メインでのビジネス活用なら、小型ボディーながら11Kの圧倒的解像度を誇るTHETA Xがイチ押しです!
敢えて適さないシーンを挙げるなら
アウトドアでのアクションカメラとして考えた場合、堅牢性、防塵・防水性、手振れ補正の面で、若干見劣りすると思います。アクションカメラを追求するなら、THETA以外の選択肢を視野に入れた方が良いでしょう。
360度パノラマのアクションカメラとして比較されがちですが、そもそもTHETAシリーズは得意なカテゴリではないと思います。
旧モデルとの画質を比較
では、さっそく360度パノラマVR画像の画質レビューを始めたいと思いますが、その前に、画像を比較するための予備知識について、少しお話をしたいと思います。
画像データの解像度
画質に最も影響があるのは、画像データの「解像度」だと考えています。もちろん他の要素もありますが、誰にでもわかりやすいのは解像度だと思います。
その解像度を指標として、今回、THETA XとTHETA V(旧モデル)、一眼レフ(魚眼レンズ撮影)で撮影した画像を解像度で比較してみると、
- THETA Vは5K相当の解像度
- THETA Xは11K相当の解像度
- 一眼レフは11K~12K相当の解像度
となります。
解像度だけで見ると、THETA Xはほぼ一眼レフレベルまで進化したと言えるのでは?と思います。
しかしながら、画質の良し悪しは解像度だけで決まるわけではありません。色合いや精細度、見た目の質感など総合的に見ればやはり一眼レフカメラで撮影したものには敵いませんが、解像度だけで見るなら、THETA Xは一眼レフの画像にかなり近づいてきたと言えます。
新旧画質比較!THETA V 対 THETA X
ここからは、弊社の360度パノラマVRサービス「Smart360」を使用して、実際に撮影したパノラマVR画像の画質検証を行ないたいと思います!
こちらの画像のグローバルメニューからシーンを切り替えると、それぞれ「THETA X」「THETA V」「一眼レフ」で撮影した360度パノラマ画像をご確認いただけます。
THETA Xの画像
まずは、今回の比較レポートの主役であるTHETA Xの画像から!

THETA Xの画像
続いて、THETA Vの画像です!

比較してみると…
どうでしょうか? こうやって並べると、画質の違いがよくわかると思います!!
さらにわかりやすく比較するために、壁にかけてある賞状を拡大した画像を並べてみました。



明らかにTHETA Xの方がTHETA Vより高精細な画像であることがわかります。一眼レフと比べるとやはり劣って見えますが、確かにクオリティは上がっています。
THETA Xのオススメ機能
続いては、THETA Xの使い方について解説したいと思います。
と言っても、THETAシリーズは共通して使い方が非常に簡単ですので、今回は撮影方法については省いて、ぜひ使ってほしい機能に絞ってご紹介します。
それは、「タイムシフト撮影」と「HDR合成モード撮影」の2つです。
タイムシフト撮影
タイムシフト機能とは、簡単に言うとこのようなイメージで、撮影者が映らないように360度空間を半分ずつに分けて撮影する機能です。
シャッターボタンを押すと半分(約180度)の空間が撮影され、その数秒後に反対側の半分(180度)が撮影されます。1回目のシャッター音が鳴った後の数秒でカメラの反対側に移動すれば、撮影者が映り込んでいない画像が撮影されます。



これまでは、映り込まないよう離れた場所からスマートフォンのシャッターボタンで操作していましたが、この必要がなくなります。
もちろん、タイムシフトで撮影した2つの画像はカメラ内で合成してくれるので非常に便利です。
HDR合成モード撮影
ぜひ使って欲しい機能の2つめは、HDR合成モードでの撮影です。このモードを使うと、窓や入口などから光が差し込むような明暗がある環境でも、高精細で綺麗な画像を撮影することができます。


HDR合成モードありで撮影したものとノーマルモードで撮影したものを比べると、その差は歴然ですよね!
ノーマルモードで撮影したものは、天井の蛍光灯やブラインドの向こうの風景が白トビしてしまっていますが、HDR合成モードを使ったものは明るさも均一で、蛍光灯や風景もくっきり映っています。
ノーマルモードで撮影したものは、天井の蛍光灯やブラインドの向こうの風景が白トビしてしまっていますが、HDR合成モードを使ったものは明るさも均一で、蛍光灯や風景もくっきり映っています。
通常のスチール撮影の場合は撮影方向の明るさに合わせればよいのですが、360度パノラマ画像は、全方位の明るさを均一にする必要があります。
HDR合成モードは自動で明暗を調整してくれるので、差が大きい撮影ポイントでは非常に役に立つと思います。
以上の2つは、特に静止画を撮影する際はぜひ使って欲しい機能です。
不動産紹介、オフィス、工場、ショールーム、展示会場など、施設紹介の360度パノラマ撮影を誰でも簡単に行うことができると思います!
フラッグシップモデルTHETA Z1との違い
ところで、THETAには、今回レビューしたX、V以外にもZ1というフラッグシップモデルもあり、最新モデルのTHETA XとTHETA Z1との違いについて気になっている方も多いことでしょう。
この2機種の違いについて、私なりの視点で解説したいと思います。
主な違い
THETA Z1は1.0型の大型イメージセンサーを搭載しているという点と、RAW記録に対応しているという点が、THETA Xと大きく違います。
THETA Xは1/2.0型のセンサーなので、倍のサイズです。センサーが大きいほど暗いシーンでもノイズが少なくクリアな画像を撮影できるようになります。
しかし、解像度については7K程度なので、THETA Xと比べると劣ると思います。
THETA Z1は画質に拘る人向き
センサーが大きくてRAW撮影できるということは、現像処理や画像加工などのようにとことん画質にこだわるケースではTHETA Z1が選択肢に入ると思います。
センサーサイズのイメージがわからない方は、一般的な一眼レフカメラも含めた、こちらの比較表を参考にしてください。

総合的に見た結果
ここまで、画質や機能の面でTHETA Xを見てきました。施設内または屋外がメインの静止画撮影では、一眼レフカメラにも匹敵する高精細な画像を簡単に撮影できるTHETA Xはかなり有効に使えるでしょう。
THETAシリーズで蓄積したノウハウをもとにVRのビジネスユースを想定して作られたTHETA Xはさすがだなぁ~と思います。
また、今回は360度パノラマ動画撮影については解説していませんが、定点で動画撮影する場合はTHETA Xでもよいと思いますが、屋外で移動しながらの撮影、つまりアクションカメラ的な活用をするなら、他社のカメラを選択するのもよいかもしれません。
私のこれまでの360度パノラマVR撮影・コンテンツ制作の経験から言うと、カメラはあくまで撮影の手段(ツール)ですので、「撮影したパノラマ画像をどのように利用するのか?」という利用の目的を明確にしてから、それに合ったカメラ選定するこが最も大切です。カメラ選定は利用用途から考えてみてください。
参考までに、THETA X、THETA V、一眼レフ撮影の比較を簡単にまとめみましたので、こちらもご覧ください。
カメラ | 用途 | 画質 | 利便性 | 価格 |
---|---|---|---|---|
THETA X | 一般撮影からビジネスユース | 〇 | ◎ | 中 |
THETA V | 一般撮影からビジネスユース | △ | ◎ | 安 |
一眼レフカメラ(魚眼レンズ) | ビジネスユース | ◎ | × (手間がかかる) | 高 |
まとめ
今回は、THETAシリーズの最新モデルTHETA Xについて、従来モデルのTHETA V、一眼レフと比較しながらレビューしてみました。
結論としては、THETA Xは小手先の改良ではなく、設計から見直され一新されたことで、ビジネスでも活用できる優れたモデルに進化したと感じました。
撮影の手軽さと性能のトレードオフがバランスよく取れたモデルです。
画質については一眼レフにも匹敵するものはありますが、やはり「プロユースの『一眼レフ+魚眼レンズ』を超えるものではない」というのが率直な感想です。
これをご覧になっている皆さんのカメラ選定の参考になっていれば幸いです。
最後に、VRの撮影やコンテンツ制作にご興味がある方は、ノーコードでVRコンテンツを制作できる弊社のサービス「Smart360」のサイトもぜひチェックしてみてください!
それでは、次回もお楽しみに!皆さんさようならー。
以上、VR先生!こと、ミヤザキでした!
筆者紹介
宮崎 裕明
株式会社エージェンテック / マーケティング部 エヴァンジェリスト

産業機器の開発20年を経て、開発のプロセス改善コンサルティングに従事。その後はスマートデバイスを活用したソリューションでお客様の課題解決支援に奔走し、VR元年から360度パノラマVRコンテンツ制作サービス立ち上げに参加する。
自身でも5,000枚以上の360度パノラマ写真を撮影してきた経験をもとにコンテンツの重要性の啓蒙活動を行い、その一環としてYouTube・本ブログにて「教えて!VR先生」を連載。
2024年度4月からは、AIをテーマにYouTube・本ブログにて「教えて!AI」連載中。
現在は、AIの活用を中心とした活動のほか、スマートデバイスのフィールド業務におけるDX化の普及のため、さまざまな業界の支援へと活動の幅を広げている。

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