教えて!VR先生 #004「360度パノラマ撮影の方法!『視差のズレ』『ノーダルポイント』って何!?」

360度パノラマ撮影の方法!『視差のズレ』『ノーダルポイント』って?

こんにちは!
VR先生!こと、株式会社エージェンテックのミヤザキです。

このブログは、VRに対するノウハウや活用方法などを、エージェンテック社のSmart360を使って初心者の方にも分かりやすくお伝えしています。360度パノラマコンテンツの”おもしろさ””便利さ”などの魅力を感じていただければ幸いです。
質問も受け付けていますからお気軽にどうぞ!

そう簡単には作れない360度パノラマVR写真

前回は、一眼レフカメラでどうやって360度パノラマVR撮影を行うのか?という基本的な流れについて解説しました。第4回目は、一眼レフで360度撮影をする際の重要な基礎知識について、少し踏み込んでお話をしたいと思います。

カメラをただ回転させて撮影するだけじゃダメ!

このタイトルを見て「前回の話と違うじゃないか!」「90度ずつ回せばいいって言ってたのに!」と思う方も少なくないはずです。
お気持ちは十分わかります。しかしまぁ、焦らず最後まで聞いて下さい(笑)。

「90度ずつ回転させて撮影する」ということは嘘ではありません。
『ただ単純に回転させる』だけでは撮影できない」ということを、これからお話します。

「視差」って知っていますか?

先ほどから言っていますが、「一眼レフカメラで360度パノラマVR写真を撮影する際、90度ずつカメラを回転させる」ということは、第2回第3回でお話した通りです。これは、何となくご理解いただいていると思います。

しかし、ここからが重要なポイントであり今回のテーマでもあるのですが、
単純にカメラを回転させて撮影するだけでは、
簡単に画像を合成することはできない

のです。

撮影時に視差のズレが生じると、撮影した画像を簡単に合成できなくなります。
この視差を最小にすることで、スムーズに写真合成ができるようになるのです。

「視差」とは?

ファインダーの視野と実際に写る範囲との違いのことで、「パララックス」とも言います。片方の目を瞑って物を見たとき、右目と左目で見え方が変わること(両眼視差)をイメージするとわかりやすいかも。

意外と重要な「ノーダルポイント」

視差のズレは、撮影時にレンズの焦点中心が異なることで発生します。
その視差をなくす点を「ノーダルポイント(Nodal Point)と言います。 ノーダルポイントはレンズの焦点で、光学的中心となります。これとは別にNPP(No Parallax Point/ノーパララックスポイント)という言葉もあり、ほぼ同じ意味で使われています。

パノラマ撮影専用の雲台があれば、ノーダルポイントでカメラを固定することができ、視差のズレを最小にすることができます。

ノーダルポイントは一度設定すればOK

ノーダルポイントの設定は、レンズに対してリング位置を決定するもので、一度設定すれば組み合わせをバラさない限り再度設定する必要はありません。

ノーダルポイントを合わせるには

用意するもの

(1)カメラとレンズ
カメラはレンズマウン卜から三脚穴までの距離が短い方が安定して取り付けられます。
ライブビュー機能が付いているものを使用します。
レンズは魚眼を中心に、超広角レンズを使用します。
三脚穴がレンズ、中心を通る垂直線の真下にないカメラは、レールなどで調整が必要になります。

(2)三脚
通常の撮影とは違い脚を狭めて使うため、剛性の高いものが望ましいです。
パン棒などが突き出している3way雲台は外します。
レバーが突き出ていない自由雲台は、下方の撮影(三脚消しの画像など)をするときにあると便利です。

(3)パノラマ雲台
ここではレンズをリングクランプで固定するタイプを使用します。

(4)リングとスタンド
8~10mmの穴が空いたリング(ワッシャ、メガネクリップなどが利用できます)。
スタンドはグラグラしなければ何でもOKです。リングを立ててテープなどで固定します。

(5)ターゲット
10~20mmの印があればそれを利用できますが、以下のようなターゲゲットを利用すると調整しやすいです。

ノーダルポイント設定の準備

  1. ターゲットを適当な高さで壁に貼る。
  2. リングの高さをターゲットの黒丸に合わせる。
  3. 同じく、パノラマ雲台に固定したカメラのレンズの高さを合わせる。
  4. ターゲッ卜からカメラの距離を3~4mとる。
  5. カメラから1~1.5mにリングをおく。

実際にノーダルポイントを合わせてみよう!

1. カメラのライブビュー機能を使い、画面中心ターゲットの黒丸が来るように位置を調整する。

2.ターゲッ卜の黒丸リングの穴の中心に来るようにリングを調整する。

3.パノラマ雲台で90度パンする。

4.リングの穴の中心からターゲットが外れたら、パノラマ雲台のカメラ前後方向の調整で中心に来るようにする。

5.確認のため逆方向にも規定値までパンし、ターゲッ卜とリングの関係を確認する。

ポイントは3つに点を直線上に!

(1)カメラのプレビュー画面の中心
(2)壁に貼ったターゲットの黒丸
(3)カメラとターゲットの間に置いたリングの中心
どの角度でも、この3つが一直線上になるように調整します。

まとめ

今回は、360度パノラマ画像を作成するための「視差をなくすノーダルポイント」の考え方について解説してきました。
基礎知識としては重要なので、しっかり覚えておいてくださいね!

でも実は・・・

よく分からなくても心配はありません!
専用のレンズマウントリングを使用すれば、実はこの面倒な調整作業は必要ないのです。

ここまで読んでおいて「なんだよ!」「それ先に言ってくださいよ!」 との声が聞こえてきそうですが、あくまで物事の原理や本質を理解しておくことが大事だと思うので、最後まで黙っていました(笑)。今後の360度パノラマVRを理解する上で役に立つはずです。

では、次回もお楽しみに!

VR先生!こと、ミヤザキでした!


筆者紹介
宮崎 裕明
株式会社エージェンテック / マーケティング部 エヴァンジェリスト

宮崎裕明

産業機器の開発20年を経て、開発のプロセス改善コンサルティングに従事。その後はスマートデバイスを活用したソリューションでお客様の課題解決支援に奔走し、VR元年から360度パノラマVRコンテンツ制作サービス立ち上げに参加する。
自身でも5,000枚以上
360度パノラマ写真を撮影してきた経験をもとにコンテンツの重要性の啓蒙活動を行い、その一環としてYouTube・本ブログにて「教えて!VR先生」を連載。
2024年度4月からは、AIをテーマにYouTube・本ブログにて「教えて!AI」連載中。
現在は、VRのプロフェッショナルとしての活動のほか、スマートデバイスのフィールド業務における活用方法など、さまざまな業界の支援へと活動の幅を広げている。

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