こんにちは!
VR先生!こと、株式会社エージェンテックのミヤザキです。
このブログは、VRに対するノウハウやVRの魅力、活用方法などを、エージェンテック社のSmart360を使って初心者の方にも分かりやすくお伝えしています。360度パノラマコンテンツの”おもしろさ”や”便利さ”などの魅力を感じていただければ幸いです。
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今回は、“Insta360 Pro2”のレビュー第3弾です。前回までは静止画の画質や撮影についてレビューしましたが、今回はInsta360 Pro2で撮影する360度パノラマVR動画についてレポートします。
過去の静止画編はこちらからどうぞ!
Insta360 Pro2とは?(おさらい)
まずは、Insta360 Pro2についてのおさらいです。
Insta360 Pro2は、2018年8月にプロ仕様の360度VRカメラとしてリリースされました。
これまで、プロレベルのVR映像・画像を撮影する場合には、複数台のカメラでリグを組み合わせて撮影するなど、かなりの手間とノウハウが必要でしたが、Insta360 Pro2は、VR映像が1台のカメラで撮影ができる優れものとして注目を浴びています。
Insta360 Pro2の解像度
前回は静止画の撮影でしたが、今回は360度パノラマVR動画撮影の性能について深掘りしていきます。
今回もところどころで、評価の参考・指標として、コンシューマ向けVRカメラ・RICOH THETA Vとの比較もしたいと思います。
VR動画に必要な解像度
まず、画質の違いに最も影響がある解像度について見ていきましょう!
Insta360 Pro2のVR動画は、4K(3840×2160)、8K(7680×4320)動画の撮影が可能です。
2022年現在、360度パノラマVR動画を公開可能なYouTubeも8KのVR動画まで対応しています。また、HD(1280×720)・フルHD(1920×1080=2K)のPCモニタで閲覧する場合、6K程度の解像度が必要なため、8KのVR動画を録画できるのは十分な性能だと言えます。
ちなみに、THETA Vでは4K動画までしか撮影できませんので、解像度だけを考えると、THETA Vは少し見劣りすることになるかと思います。
しかし、現在のインターネット環境において、現実的に8KパノラマVR動画は必要なのか?
この点については賛否両論あると思います。
せっかくの8K動画も、通信環境が良くない状況では4KやHDまで自動で圧縮されたり、スムーズに再生されなかったりします。
8KパノラマVR動画をストレスなく再生できる環境が整い、誰もが8KVR動画を楽しめるようになるまでは、まだ少し時間がかかるのでは?
個人的にはこのように思います。
Insta360 Pro2の8KとTHETA Vの4K、その差は?
以下の画像は、Insta360 Pro2で撮影した8KVR動画と、THETA Vでの4KVR動画のスクリーンショットです。
動きがあまりない静止画像では、違いはあまりわからないかもしれません。
また、屋外撮影の場合、画質は天候の影響も受けるので、晴天時に撮影した方が画質が良く見える傾向があり、VRカメラの性能差も分かり難くなると言えます。
逆に、夜間撮影などでは性能差が画質にハッキリと表れてきます。
HD(2K)のモニタサイズでVR動画を閲覧することが主流となっている現状では、人間の目では4Kと8Kの差がはっきりとは分からないケースも多いはずです。 今後、4Kモニタが一般的になってくれば話が変わってきますが、2Kのモニタで見ている現状は8Kの凄さは伝わりづらい、ということは間違いありません。
拡大して見ると8Kと4Kの違いがわかる
さて、画質の違いは本当にそれだけでしょうか。
夜間のVR動画撮影以外は、結局そんなに画質は違わないじゃないか! と思った方が多いでしょう。
そこで、敢えてもう1つ違いとして述べておくとしたら、パッと見た目では分からないですが、拡大してみると解像度の差がはっきり表れてきます(現実的に拡大して見る人は、ほぼ少ないと思いますが、、、笑)。
上は、先ほどと同じ動画の別シーンを同じ倍率で拡大したものです。こうして見ると、やはりInsta360 Pro2の方が高精細であるとわかります。
通信環境にも左右される
動きが多い動画は転送データが多くなるため、再生が追い付かずにカクカクした動きになったり、画質が低下することがあります。
特に解像度が高いVR動画は転送するデータ量が非常に多いため、その傾向が強くなります。
例えば、観光地の景色を収めた風景動画などは比較的動きは少ないですが、サッカーなどを撮影した動画は、スタジアムのファンや選手などの動きが多いため、画質が低下しやすくなります。
先ほども個人的な考えを述べましたが、一般的なモニタの解像度、動画を閲覧する際の通信環境など、8Kの高解像度動画を多くの人がストレスなく見たり使ったりするには、もう少し時間がかかりそうです。
先に挙げたサンプル動画はYouTubeにありますので、こちらからご覧ください。「設定」で8Kや4Kでの再生を選ぶと、さらにわかりやすいかもしれません。
Insta360 Pro2の扱いやすさ
遠隔映像のモニタリングも可能に
前回のレビューでも述べた通り、Insta360 Pro2はオートモードの撮影が可能、スマホでプレビューもできるので、「扱いやすさ」や「手軽さ」という点では問題ないと思います。
前モデルのInsta360はWi-Fiでのスマホ接続が可能でしたが、Insta360 Pro2では新たに、遠隔からリアルタイムに撮影のコントロールやプレビューが行えるFarSight遠隔映像モニタリングシステムがオプションで追加されました。
これまで高解像度のビデオ録画中はプレビューすることができませんでしたが、本機能により離れた場所*でも録画中プレビューが可能となりました。これはかなり優れていると思います。
* 地上から地上で最大300m、地上から空中で最大1km離れていても制御可能(公式ウェブサイトより引用)
動画撮影ではスタビライザーも重要
前モデル・Insta360 Proがジャイロ6軸だったのに対して、Insta360 Pro2は9軸となり、手ぶれ補正がさら強化されました。
これによってスタビライザーの機能はかなり強化され、大きな上下左右の揺れも自然にスタビライズできている感じを受けます。また、徒歩ではなく、走った場合の激しい揺れもある程度制御できています。
撮影後のスティッチング
Insta360 Pro2で撮影する360度パノラマVR動画は、6つの魚眼レンズでキャプチャーした映像を合成して作成します。つまり、スティッチングによる画像合成が不可欠なのです。
静止画のスティッチングについては、こちらも前回の撮影・操作編に記載しております。
ここでも触れた通り、Insta360 Pro2のスティッチングには大きく2パターンあります。
①撮影後、カメラ内で自動スティッチングする「リアルタイムスティッチング」(これができないとプレビューができなません!)
②撮影映像をPCに取り込み、スティッチングソフトで合成処理をする(後処理と呼ばれます)
この2つです。
Insta360 Pro2の場合、①カメラ内のリアルタイムスティッチングが可能なのは4K動画までになっています。
8KのVR動画になると、専用ソフトに映像に取り込んで後処理するということになりますが、この操作もいたって簡単で、6つのレンズで撮影した映像を専用ソフトに読み込むだけで、スティッチングを行ってくれます。
補足になりますが、RICOH THETA Vの4KVR動画も、THETA専用ソフトウェアに取り込み、後処理でスティッチングすることになります。
ちなみに、THETA Vは2つの魚眼レンズなので、2つの映像の合成になります。
まとめ
今回は、話題のVRカメラ・Insta360 Pro2での360度パノラマVR動画撮影についてレポートしてみました。
使用してみた感想としては、概ねプロユースに耐えうるモデルだとは思いました。
Insta360にはさらにハイエンドの機種もあり、Pro2はその中で「扱いやすい、ミドルクラスの汎用プロユースモデル」と捉えた方が良いというのが私の見解です。
8K動画を撮影できるプロユースカメラが比較的手頃な価格で手に入る時代になってきましたが、その高精細な映像の凄さを享受するには、観る側の環境(モニタの解像度や通信環境など)も大きく関わってくるため、こういったカメラで撮影した高解像度動画が広く一般的になるにはもう少し時間がかかるかもしれません、ということも改めて述べておきます。
最後に、THETA Vとの比較レポート結果を簡単にまとめてみましたので、360度パノラマVRカメラ機材選定基準の1つにしていただけたらと思います。
次回もお楽しみに!
以上、VR先生!こと、ミヤザキでした!
筆者紹介
宮崎 裕明
株式会社エージェンテック / マーケティング部 エヴァンジェリスト
産業機器の開発20年を経て、開発のプロセス改善コンサルティングに従事。その後はスマートデバイスを活用したソリューションでお客様の課題解決支援に奔走し、VR元年から360度パノラマVRコンテンツ制作サービス立ち上げに参加する。
自身でも5,000枚以上の360度パノラマ写真を撮影してきた経験をもとにコンテンツの重要性の啓蒙活動を行い、その一環としてYouTube・本ブログにて「教えて!VR先生」を連載。
2024年度4月からは、AIをテーマにYouTube・本ブログにて「教えて!AI」連載中。
現在は、AIの活用を中心とした活動のほか、スマートデバイスのフィールド業務におけるDX化の普及のため、さまざまな業界の支援へと活動の幅を広げている。
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