教えて!VR先生 #010「360度パノラマVRカメラ “Insta360 Pro2” レビュー!~撮影・操作編~」

360度パノラマVRカメラ "Insta360 Pro2" レビュー!~撮影・操作編~

こんにちは!
VR先生!こと、株式会社エージェンテックのミヤザキです。

このブログは、VRに対するノウハウやVRの魅力、活用方法などを、エージェンテック社のSmart360を使って初心者の方にも分かりやすくお伝えしています。360度パノラマコンテンツの”おもしろさ””便利さ”などの魅力を感じていただければ幸いです。
質問も受け付けていますからお気軽にどうぞ!

今回は、前回に引き続き“Insta360 Pro2”のレビューです。「取り扱いやすさ」という観点で、前回同様RICOH THETA V、一眼レフカメラとの比較を行いました。

前回の画質比較編はこちらからどうぞ!

教えて!VR先生 #009「360度パノラマVRカメラ "Insta360 Pro2" レビュー!~画質比較編~」
株式会社エージェンテックのミヤザキによる「教えて!VR先生」の第9弾です。今回は、プロ用360度VRカメラ"Insta360 Pro2"のレビューを行いました。まずはRICOH THETA V、一眼レフカメラcanon EOSの撮影画質と比較を行いました。

カメラの取り扱いやすさで比較

360度パノラマVR画像を撮影するのは、通常のカメラ撮影とノウハウやテクニックが異なるため、撮影の難易度もかなり変わってきます。 今回は、実際に360度パノラマ画像を撮影する際の操作性や難易度について、他の360度VRカメラと比較していこうと思います。

ポイント①HDR合成撮影モード

パノラマVRの撮影は通常の写真撮影と異なり、360度全方位の撮影を行うため、「撮影空間の明暗を可能な限り抑えて撮影する」ということが最も重要です。

そのため、360度パノラマVR画像は「ブラケットモード」で撮影し、HDR合成を行わなくてはなりません。 それができない場合、明るいところは白とび、暗いところは黒つぶれ、となってしまう可能性があるのですが、HDR合成は、Insta360 Pro2、THETA V、一眼レフカメラ、どの機種にも搭載されています。
これがあれば、夜景も含め大抵の撮影は可能になります。

VRカメラの中にはHDR合成モードを持たない機種もありますが、この3機種については、性能に違いがあれど、どのカメラでも問題ありません。

ブラケットモード撮影については、こちらで解説しています。

教えて!VR先生 #003「一眼レフカメラで360度パノラマVR画像を撮影してみよう!」
株式会社エージェンテックのミヤザキによる「教えて!VR先生」の第3弾です。今回は、一眼レフカメラを使っての360度パノラマVR画像の撮影方法や合成方法について解説しています。美しいパノラマVRコンテンツの作り方がわかっちゃいます。

ソフトを使ってのHDR合成についてはこちらから。

教えて!VR先生 #005「360度パノラマ写真を合成するスティッチングソフトの使い方を解説します!」
株式会社エージェンテックのミヤザキによる「教えて!VR先生」の第5弾です。今回は、撮影した12枚の写真を1枚の360度パノラマVR画像を合成する「スティッチングソフト」の使い方について、簡単に解説しています。

ポイント➁操作性

プロ向けモデルとはいえ、あまりにも操作が難しいとなると、使用のハードルはなかなか高くなります。
操作性で言うと、360度VR撮影においては「オートモードでの撮影」が可能かどうかが大きなポイントです。

このInsta360 Pro2はどうかというと、オート撮影モードを実装してるので、初めて扱う方でもでも比較的に手軽に撮影できると思います。
スマートフォンでプレビューしながら写り具合を確認することも可能ですし、スマートフォンでそのままシャッターを切ることもできます。

Insta360 Pro2をスマートフォンで操作

ちなみに、THETA Vもオートモードの撮影は可能です。
これに対して、一眼レフカメラでの360度VR撮影は、露出、WB(ホワイトバランス)、シャッタースピードなどの調整をマニュアルで行なうため、1枚の撮影時間は専用カメラと比較するとかなり長くなってしまいます。また、プレビューもできないので、難易度はさらに上がります。

初心者でも扱いやすい操作性」という点では、Insta360 Pro2、THETA Vなどの専用カメラに軍配が上がるかと思います。

ポイント

一眼レフは画質は良いが、全てをマニュアル設定するのでノウハウが必要!

ポイント③重量

カメラの重量も実は非常に重要です。
撮影ポイントまでの移動、撮影中の移動などでカメラ持って動き回るため、重すぎるものはやはり使用のハードルが上がってしまいます。

Insta360 Pro2の重さは約1.5kgですが、実際にロケで使ってみたところ、この重量であれば三脚に付けたままの徒歩移動は特に問題ないと感じました。

THETA Vは約182g(!)と、各段に軽量です。一眼レフカメラもInsta360 Pro2よりは軽いため、こちらも三脚に固定したままの移動は問題ありません。

カメラ扱いやすさ操作、設定のしやすさカメラ重量
コンシューマ向け360度VRカメラ(THETA V)
Insta360 Pro2

電源をONにして、スマートフォンで撮影するだけ。
約182g
プロ向けInsta360 Pro2
Insta360 Pro2

電源をONにして、スマートフォンで撮影するだけ。
※THETAに比べて、立ち上げるまで時間がかかる。
約1,550g
一眼レフカメラ(魚眼レンズ)
Insta360 Pro2
××APS-Cサイズで約800g

ポイント④撮影画像の後処理

360度パノラマVR写真は、複数の撮影画像を合成して、1枚のパノラマ画像を作成します。この画像合成は「スティッチング」と呼ばれ、必要不可欠な工程です。

スティッチングについても、こちらで解説しています。

教えて!VR先生 #005「360度パノラマ写真を合成するスティッチングソフトの使い方を解説します!」
株式会社エージェンテックのミヤザキによる「教えて!VR先生」の第5弾です。今回は、撮影した12枚の写真を1枚の360度パノラマVR画像を合成する「スティッチングソフト」の使い方について、簡単に解説しています。

撮影した画像をどのタイミングでどうやって処理するのか?がポイントになってきます。
大きく分けると、
①撮影後、カメラ内で自動スティッチングする(これができないとプレビューができない)
②撮影画像をPCに取り込み、スティッチングソフトで合成処理をする(後処理と言われます)
2通りの方法があります。

Insta360 Pro2は、この2つの方法のどちらも選択できるのですが、実際に使用してみたところ、カメラ内の自動スティッチング(①)は、合成処理にズレが生じるケースがありました。

ですので、Insta360の専用ソフトをPCにインストールし、画像を取り込んで後処理する方法(②)がオススメです。これによって画像の繋ぎ目のズレが生じなくなります

後処理操作もいたって簡単で、6つのレンズで撮影した6枚の画像を読み込むだけで、スティッチングを行ってくれます
あとは、傾きや最初に表示される正面を手動で調整するだけで保存すれば完了です。

スティッチングイメージ

THETA Vはコンシューマモデルだけあって、カメラ内でのスティッチングのみ(①)なのですが、特に後処理は必要なく、画像を使用することができます。

THETA Vは画像が2枚

THETA Vはレンズが2つだけなので、カメラ内の2つの画像を合成するだけで済み、カメラ内のスティッチングでも処理が十分なのです。

用途に合わせたカメラ選び

近年、360度パノラマVRの活用方法はどんどん広がりを見せており、撮影機材も、用途によって向き・不向きがあります。
皆さんも悩まれることがあるのではないでしょうか。

ここからは、そんな「用途に合わせた撮影機材の選択」について解説したいと思います。
撮影条件により、機材選択のポイントが変わってきます。

撮影場所の広さ、撮影ポイント数

撮影場所が広くなれば、当然、撮影ポイント数も多くなります。
例えば、モデルルームの撮影であれば、各部屋、玄関の撮影など含めて、10ポイント以内になりますが、商業施設、イベント施設などは、撮影ポイント数も非常に増えてきます。

こういった撮影枚数が多い条件下では、簡単に撮影ができる(オートモードで撮影できる)機材を選択する方がベターです。

高精細画像を必要とするならInsta360 Pro2、そうでなければTHETA V相当の360度VRカメラを選択するのが良いと思います。

撮影環境に動きがあるか、ないか(人の往来など)

商業施設、イベント施設などは、店舗がクローズした状況でなければ、人流を制限することができません。
人の動きなどがある場所では、1回のシャッターで撮影できないと画像合成にズレが生じます。こういう場合では、Insta360 Pro2のような360度パノラマカメラが推奨されます。
また、屋外で、車などの動きがある場合も同様です。

画質クオリティ

一方で、高級マンション物件のモデルルーム、オフィスエントランス、ショールームなどの場合は、画質(高精細な画像)を最優先にする、さらには「肉眼で見るよりきれいな画質」を求められるため、基本的に一眼レフカメラでの撮影を行うことになります。

高画質画像と低画質画像

しかし、一眼レフはポイント②で挙げたような「人や物の動きが多い場所での撮影」には適していないため、そういった動きを制限してから撮影する必要があります。

一眼レフで撮影した画像は11K~12Kの高解像度(一般的な画像に置き換えると4K相当)で、レンズ、センサー性能が良いため、色合いも優れています。現在主流であるフルHD相当のモニタで見てみても、高精細画像であるとわかります。

前回の比較でわかった通り、やはり画質が最重要視されるケースでは一眼レフカメラの一択になりますね。

以上3つのポイントで言うと、Insta360 Pro2はどんな撮影条件でも柔軟に対応できるカメラだと言えます。そして同時に、ハイエンド画質を必要とする場合は一眼レフカメラが最適という、前回と同様の結論も浮かび上がります。

しかしながら、これまで述べてきたように、一眼レフカメラでの撮影はかなりのノウハウを必要としますので、ご興味ある方は当社までお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

360度パノラマVR撮影についてのお問い合わせはこちらからお願いいたします。

まとめ

前回・今回と2回にわたって、Insta360 Pro2での静止画撮影のレビューを行なってきました。
結論としては、Insta360 Pro2は、様々な撮影条件下で概ねプロユースとして使用できることがわかりました。

ただし、画質については、やはり、一眼レフ+魚眼レンズを超えることはできませんでした。本格的な撮影には、一眼レフカメラのような機材と、ある程度の知識・ノウハウなどが必要だということです。

以下、今回の比較検証結果を簡単にとめましたので、360度VRカメラを選定する際の参考にしていただければと思います。

カメラ画質評価解像度撮影の難易度後処理
コンシューマ向け360度VRカメラ(THETA V)
Insta360 Pro2
△   5K相当必要なし
プロ向けInsta360 Pro2
Insta360 Pro2
〇   8K相当専用ソフトで自動スティッチング
一眼レフカメラ(魚眼レンズ)
Insta360 Pro2
◎   11~12K相当スティッチングソフトを使用し手動スティッチング

次回は、このInsta360 Pro2での動画撮影についてレポートしていきたいと思います。
お楽しみに!

以上、VR先生!こと、ミヤザキでした!


筆者紹介
宮崎 裕明
株式会社エージェンテック / マーケティング部 エヴァンジェリスト

宮崎裕明

産業機器の開発20年を経て、開発のプロセス改善コンサルティングに従事。その後はスマートデバイスを活用したソリューションでお客様の課題解決支援に奔走し、VR元年から360度パノラマVRコンテンツ制作サービス立ち上げに参加する。
自身でも5,000枚以上
360度パノラマ写真を撮影してきた経験をもとにコンテンツの重要性の啓蒙活動を行い、その一環としてYouTube・本ブログにて「教えて!VR先生」を連載。
2024年度4月からは、AIをテーマにYouTube・本ブログにて「教えて!AI」連載中。
現在は、VRのプロフェッショナルとしての活動のほか、スマートデバイスのフィールド業務における活用方法など、さまざまな業界の支援へと活動の幅を広げている。

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