教えて!VR先生 #006「『伝わる』360度パノラマVRコンテンツを考える!」

「伝わる」360度パノラマVRコンテンツを考える!

こんにちは!
VR先生!こと、株式会社エージェンテックのミヤザキです。

このブログは、VRに対するノウハウや活用方法などを、エージェンテック社のSmart360を使って初心者の方にも分かりやすくお伝えしています。360度パノラマコンテンツの”おもしろさ””便利さ”などの魅力を感じていただければ幸いです。
質問も受け付けていますからお気軽にどうぞ!

撮影 ~魅力あるコンテンツを作るための心構え~

今回は、360度パノラマVRのコンテンツを制作・編集する前の段階、「どんなコンテンツを作るのか?」という「企画」について、また、「どうやってコンテンツを伝わるものにするか」ということについて、お話したいと思います。

一言で360度パノラマVRコンテンツと言っても様々なものがありますが、今回はその中でも、比較的利用頻度が高いモデルルームを例に挙げていきます。

ザ・パークハウス 国分寺四季の森 モデルルーム

撮影ポイントを決定する

360度パノラマVRコンテンツを制作する際、まず最初に決めるのは「撮影するポイント」です。

シーン数は臨機応変に

モデルルームなど、室内の場合は比較的簡単で、各部屋を1回、1ポイントずつ撮影していきます。
ただし、20畳を超えるリビングなど、大きな部屋がある場合は、1つの部屋の中で2ポイント以上撮影した方が良い場合もあります。

弊社が手がけているモデルルームのパノラマVRコンテンツでは、基本的に1部屋=1ポイントで撮影していますが、当然、場所や内容によって臨機応変に対応する必要があります。

見る側・提供する側のメリットを最優先する

部屋の中を1m~3mの間隔を置いて撮影する「ウォークスルー」という手法があります。場所や見せたい内容によっては、この「ウォークスルー」が有効な場合もありますが、1つの部屋の中を移動しながら見る、というのは、見ている側は意外とストレスを感じることもあるんです。
これはコンテンツに対して良くないイメージを持たれてしまう可能性となり、元も子もありません。

コンテンツを見る側・提供する側、それぞれにとってプラスになることを最優先に考えて制作する、ということが大前提です。

広い空間での撮影

一方、展示会場のような広い空間の施設、または屋外では、どのような間隔で撮影すれば良いのでしょうか。

目安となるポイントは、
・紹介したい施設の近く
・通路の分岐点
・出入口付近

などが一般的なものです。

また、撮影ポイント同士の距離は最低でも10m以上の間隔を空けて撮ると良いでしょう。
距離が近すぎると、どちらの撮影ポイントも同じような空間に見えてしまって、あまり意味をなさなくなるからです。

その場所のセールスポイントを最大限に引き出す

弊社のパノラマVRコンテンツは、ただ「施設を回遊するものを見せる」ということが目的ではなく、「その施設の魅力を伝える」ということが第一の目的と考えているため、近い距離での撮影は避けています。
「魅力を最大限に引き出せるような撮影ポイント選び」を常に考えて、場所を絞って撮影を行うわけです。

この「魅力を伝える」という目的は、施設の大きさに関係なく、どんな所でも変わりません。
モデルルームであっても、展示会場であっても、撮影ポイント選びはいつも慎重に行います。

実際の現場でどこを撮るべきか迷ったときは、予定より撮影ポイントを増やして撮影してください。 使う、使わないの判断は編集の時にすればOKです。

企画 ~パノラマVRを通して何を伝えたいのか~

次に、撮影・コンテンツの編集をする前に、何を伝えたいのか?を整理します。
ここでのポイントは2つです。

提供する側がアピールしたいことを考える

まずは、バーチャルモデルルームを例に、提供側が求めていることを考えます。

洋室の中に扉がありますが、これは単なる収納の扉ではなく、内部はクローゼットになっています。

しかし、ただ扉を出しているだけでは、見ている方は気付きませんし、クローゼットの良さが伝わりません

そこで、クローゼットの特徴を見てほしいと思った場合、

クローゼットの特長などの説明文を画像と一緒に提示すれば、提供する側が伝えたいことをシンプルに、明確に伝えられます。
そして、見る側にとってもわかりやすく、有益な情報になるはずです。

このような方法を使えば、提供する側が本当に見せたいことをわかりやすく見せることができます。また同時に、それはユーザーにとっても有益になるんですね。

ユーザーが本当に欲しい情報は何かを考える

次に、ユーザーの立場で考えてみます。それはつまり、パノラマVRを体験したユーザーが得られるメリットは何なのか?を考えるということです。

モデルルームのキッチンを例に挙げて見てみましょう。
これを見ているメインユーザーは、住宅購入を検討している方々です。購入者の視点になってみると、キッチン設備の使い勝手はとても気になることですし、住宅購入を決める際の重要なポイントの1つになります。

キッチンも年々進化しており、使い勝手や機能などのセールスポイントをわかりやすく示す、ということはかなり大切です。毎日使う場所ですから、ユーザーに「使いやすそう」と思ってもらえるようなコンテンツ作りが必要になります。

コンロは?食洗器は?どんな設備なのか?と、VR上のキッチンを眺めながら、気になる箇所をタップして、設備の情報をわかりやすく見られるようにコンテンツを作れば、ユーザーの満足感も高まると思います。

このように、どう見せたいのか?どう伝えたいのか?ということを、見る側の視点で考えて、情報を整理して企画することで、素晴らしい体験を提供できる魅力的なコンテンツが出来上がります。

以上のように、コンテンツを提供する際には、伝えたいこと伝わり難いこと、そして、ユーザーが欲しいと思う情報を、空間の中にいかにマッピングするか、ということが重要ですので、制作に入る前に、しっかりと整理しておきましょう。

構築 ~ユーザーに優しいコンテンツを作るために~

さて、「何を伝えたいか」を整理した後は、4つの「伝える方法」について解説したいと思います。

1. 空間上に「情報を埋め込む」

先ほどのキッチンの各設備それぞれに「情報を表示する」ボタンを置き、クリックすると、設備に関する説明が表示されます。これが「情報を埋め込む」ということです。

このVR空間上に割り当てられたボタン(この場合は白いチェックマーク)をホットスポット」と呼びます。空間上にホットスポットを設置する、これが「伝えるための表現方法」の1つ目です。

2. ブラウザに固定するホットスポット

2つ目は、PCやスマホのブラウザ(ウインドウ)に固定するホットスポットの設定です。左の例では、ブラウザの画面右下に固定しています。

固定する位置はどこでも自由に設定できますが、パノラマ空間表示の邪魔にならないように、ということは考慮しなければなりません。
また、サイズ調整も必要です。PCのワイド画面とスマホの画面では画角の違いから見え方も変わりますので、適正なサイズに調整しましょう。

3. グローバルナビの設置

3つ目は、コンテンツ上部にグローバルナビを設置して、ホームページのように情報をマッピングするということです。
グローバルナビがあれば、ユーザーは普段から見慣れているホームページのような感覚で操作できるので、見ていて迷うこともなくなり、ユーザービリティが向上します。

使い方の例としては、
・シーンの移動(VRモデルルームでは、リビング / キッチン / 洋室といった部屋の移動など)
・アクセス情報などのページや、GoogleMapなどリンクの設定
・申し込みや問い合わせページのリンクの設定

ホットスポット、グローバルナビに入れられる情報

・ウェブサイトのURL
・商品、サービスなどの説明画像
・動画
・音声
・シーン移動
など、内容に応じて情報を使い分けて使用します。

4. マップ表示

最後に、ユーザーに分かりやすく伝える方法の4つ目が、マップです。
360度パノラマコンテンツを初めて見るユーザーにとって、マップはとても大切です。

初めてのユーザーは特に、自分がVR空間上のどこにいるのか?どこを見ているのか?、などが分からなくなることがあります。場所を移動しているうちに、位置を見失ってしまうのです。

初見のユーザーでも全体のレイアウトを把握できること、そして「どこに自分がいるのか?」「どの方向を見ているのか?」など、位置の感覚を分かること、これはとても大切なのです。

弊社のコンテンツでは、画面上に簡単なマップを出し、今どこにいるのか、どの方向を見ているのかを分かりやすく表示することで、ユーザーを的確にナビゲートするものになっています。

実際のモデルルーム例

これまで述べてきたような考え方から、最終的にはこうのような360度パノラマVRモデルルームが完成します。実際に部屋の中を動いたり、ホットスポットをクリックして、情報を見てみてください。

まとめ ~常にユーザーフレンドリーであること~

以上、「伝わりやすい」360度パノラマVRコンテンツの内容について、4つのポイントでお話してきましたが、 コンテンツを企画・制作する上で最も基本的で重要なことは、
初めて訪れる人も含めた、全てのユーザーにわかりやすいコンテンツ作り
ということです。

ユーザーフレンドリーなコンテンツであれば、一度来たユーザーが再び訪れてくれる可能性も各段にアップするはずです。ユーザー第一で制作することを常に心掛けましょう。

今回は、360度パノラマVRコンテンツについて、企画時の心構えから、制作時の考え方などを話してきましたが、それはつまり、ビジネス活用する場合は、やはりユーザー=「お客様」のことを第一に考えなければならない、ということでした。

次回も、360度パノラマVRがより身近なものになるような情報をお届けしていきます。お楽しみに!

VR先生!こと、ミヤザキでした!


筆者紹介
宮崎 裕明
株式会社エージェンテック / マーケティング部 エヴァンジェリスト

宮崎裕明

産業機器の開発20年を経て、開発のプロセス改善コンサルティングに従事。その後はスマートデバイスを活用したソリューションでお客様の課題解決支援に奔走し、VR元年から360度パノラマVRコンテンツ制作サービス立ち上げに参加する。
自身でも5,000枚以上
360度パノラマ写真を撮影してきた経験をもとにコンテンツの重要性の啓蒙活動を行い、その一環としてYouTube・本ブログにて「教えて!VR先生」を連載。
2024年度4月からは、AIをテーマにYouTube・本ブログにて「教えて!AI」連載中。
現在は、VRのプロフェッショナルとしての活動のほか、スマートデバイスのフィールド業務における活用方法など、さまざまな業界の支援へと活動の幅を広げている。

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