今から始めるDX #011【2022年本格始動】国土交通省が推進する遠隔臨場が建設業界にもたらす影響とは?


こんにちは!株式会社エージェンテック・エヴァンジェリストのミヤザキです。

皆さんは、「遠隔臨場」という言葉をご存知でしょうか?なかなか聞き慣れない言葉ですが、これは「動画撮影用カメラとWeb会議システムを利用して離れた場所から臨場を行うこと」を指しています。

具体的には「公共工事の建設現場での作業(段階確認、材料確認、立ち合い)を非接触・リモートで行う」というもので、国土交通省が令和4年度より本格実施を始めました。

通信環境が整わない現場や非効率になる現場を除いたすべての工事が適用対象となり、昨今の感染症対策の観点からも今後ますます普及していくと考えられます。

今回はそんな「遠隔臨場」について解説していきます。

この記事はこんな方にオススメです!
  • 遠隔臨場の概要について知りたい
  • 現場にどう影響するのか知りたい
  • 遠隔臨場ツールの選び方を知りたい

国土交通省が定める遠隔臨場に関する試行要領

本章の内容は「建設現場の遠隔臨場に関する試行要領(案)」(国土交通省)を元に作成しています。

https://www.mlit.go.jp/tec/content/001397221.pdf

遠隔臨場の概要

遠隔臨場は、スマートフォンやウェアラブルカメラなどにより撮影した現場の映像と音声を、Web会議システムを利用してリモートで確認するものです。

確認実施者が現場技術員の場合は、使用する PC にて遠隔臨場の映像(実施状況)を画面キャプチャなどで記録し、システムで管理します。そして、動画撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラ等)の使用は、「段階確認」、「材料確認」と「立ち会い」だけではなく、現場不一致、事故などの報告時の活用を妨げるものではないとしています。

対象工事

対象となる工事は以下の通りです。

  • 令和4年4月1日以降発注した工事
  • 令和4年4月1日時点で「遠隔臨場の対象工種(段階確認、立ち合い、材料確認)がある工事

※遠隔臨場を実施するにあたり通信環境を確保できる現場

例えば、施工現場が遠隔地で立ち合いに時間を要する工事などが想定されています。

遠隔臨場に使用する機器に関する仕様

国土交通省は動画撮影用のカメラについて以下の通り定めています。
※映像と音声は別の機器を使用することも可能です。

項目仕様
映像(カラー)画素数:640×480 以上
フレームレート:15fps 以上
音声マイク:モノラル(1 チャンネル)以上
スピーカ:モノラル(1 チャンネル)以上

Web会議システムに関する仕様

Web会議システムについては以下の通り定められています。
※Web会議システム等は通信回線速度により自動的に画質等を調整するため、通信回線速度を優先し、転送レート(VBR)は参考となります。

項目仕様
通信回線速度下り最大 50Mbps、上り最大 5Mbps 以上
映像・音声転送レート(VBR):平均 1 Mbps 以上

画質と通信速度に関する仕様

画質・通信速度は以下の通り定められています。
※こちらは目安で、利用環境や電波状況、時間帯に応じて変化します。

画質画素数最低限必要な通信速度
360p640×360530kbps
480p720×480800kbps
720p1280×7201.8Mbps
1080p1920×10803.0Mbps
2160p4096×216020.0Mbps

遠隔臨場のメリット

遠隔臨場を導入するメリットは、以下のようなことが挙げられると思います。

  • 人手不足の解消
  • 感染症対策
  • 作業員の育成
  • コスト削減

それぞれについて説明していきます。

人手不足の解消

建設業界では少子高齢化に伴う慢性的な人手不足が課題となっていますが、遠隔臨場を導入すれば、これまで立ち合い確認が終わらないと進められなかった作業もリモートでリアルタイムに確認できるようになります。
その結果、作業員の生産性向上に繋がり、人手不足解消に期待できるのです。

感染症対策

遠隔臨場によるリモートでの作業は、現代の新しい生活様式であるコンタクトレス(非接触・非対面)を実現できます。つまり、作業員の安全を守ることにもつながります。

作業員の育成

これまで現場の作業は現場で直接教えるのが一般的でした。しかし、遠隔臨場を利用することで、必ずしも有識者が現場で直接教える必要がなくなったのです。
現場訪問にかかる移動時間を削減できるため、これまで以上に効果的で効率的な人材育成が可能となります。

コスト削減

遠隔臨場を利用し、現地へ訪問する人員を最小限に減らすことで、移動にかかる費用や人件費などのコストを大幅に削減することができます。

遠隔臨場のデメリット

遠隔臨場の導入にはメリットばかりではありません。デメリットも考えて導入を進める必要があります。

通信環境の影響を受ける

遠隔臨場ではインターネットを介したシステムを利用するため、通信環境が悪い現場では、うまく活用できない場合があります。
特に山奥やトンネル内などは通信環境が悪く、利用できない可能性があります。

導入コストがかかる

撮影用のカメラ(ウェアラブルカメラなど)をリースやレンタルすることも可能ですが、現場の規模によっては導入コストが大きくなります

プライバシーの問題

映像や音声が記録として残るため、撮影時に公的でない建物内部の映り込み、人物が映る場合はプライバシーの侵害に当たる恐れがあり注意が必要です。そのため、必要に応じて事前に周囲への撮影許可を取るなどをする必要があります。

遠隔臨場で使えるカメラの種類

遠隔臨場を始めるためには、撮影用のカメラを用意する必要があります。どんなカメラが使えるのでしょうか?

具体的には、次の4つが挙げられます。

  • ウェアラブルカメラ
  • スマートグラス
  • スマートフォン・タブレット
  • クラウドカメラ

ウェアラブルカメラ

ウェアラブルカメラはヘルメットや腕に装着し、ハンズフリーで撮影ができる小型のカメラのことです。
例えば、GoProなどがこれにあたります。

スマートグラス

スマートグラスはメガネ型のウェアラブル端末のことで、レンズを通してデジタル情報を表示することができます。ハンズフリーで利用できるので、現場の作業や点検等で活用されています。

スマートフォン・タブレット

ご存じの通り、タッチ操作が可能で持ち運びができる高性能な携帯電話です。通話だけでなく、カメラの画質、処理性能が高く、あらゆる現場で活用されています。

クラウドカメラ

クラウドカメラとは、ネットワークに接続されたカメラで、撮影した映像をクラウド上に保存する仕組みを持つカメラのことです。
わかりやすい例を挙げると、防犯カメラがこれに該当します

遠隔臨場ツールの選び方

遠隔臨場で使えるカメラが複数あることはわかりましたが、どれを選べばよいのでしょうか?

その答えは、現場の環境や何を重視するかによって異なってくるかと思います。

利用する環境を重視

例えば環境面で言えば、高所などでの利用が想定される場合は「ハンズフリーであること」が求められます。その場合は、もちろんウェアラブルカメラやスマートグラスを利用するのが良いでしょう。常に固定しておける現場であれば、クラウドカメラもいいかもしれません。

扱いやすさを重視

では、「現場での扱いやすさ」を重視する場合はどうでしょう。

ウェアラブル端末は接続に手間がかかったり、画面が見づらかったりというデメリットがあります。一方、スマートフォンなどは、普段利用している方も多く扱いに慣れていて、インターネットへの接続も簡単にできます。

コストを重視

導入費用を考えた場合、なるべく安く始めたいという需要も多いかと思いますので、その場合もやはりご自身のスマートフォンを利用して始めるのが最適だと考えられます。

最適の遠隔臨場ツールは

このように、現場によって最適なツールは異なってくるので、現場の環境やそれぞれの端末のメリット、デメリットを理解し、自身の現場にあったツールを選ぶようにしましょう。

もし、コストを抑えて、手軽に遠隔臨場ツールを導入したいとお考えであれば、弊社の「LiveTaskyell(ライブタスケル)」がオススメです。

ライブタスケルは、フィールド業務の現場が抱える人材不足や技術伝承といった課題を解決するために開発された、スマートフォンを利用した遠隔臨場ツールです。
直感的な操作で高画質なライブ映像を共有することができ、通話履歴の情報を管理・活用ができます。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、国土交通省が推進する「遠隔臨場」について解説してきました。

リモートワークの普及に伴い、現場の業務も変わってきているので、これを機に遠隔臨場を始めてみるのはいかがでしょうか。


筆者紹介
宮崎 裕明
株式会社エージェンテック / マーケティング部 エヴァンジェリスト

宮崎裕明

産業機器の開発20年を経て、開発のプロセス改善コンサルティングに従事。その後はスマートデバイスを活用したソリューションでお客様の課題解決支援に奔走し、VR元年から360度パノラマVRコンテンツ制作サービス立ち上げに参加する。
自身でも5,000枚以上
360度パノラマ写真を撮影してきた経験をもとにコンテンツの重要性の啓蒙活動を行い、その一環としてYouTube・本ブログにて「教えて!VR先生」を連載。
2024年度4月からは、AIをテーマにYouTube・本ブログにて「教えて!AI」連載中。
現在は、VRのプロフェッショナルとしての活動のほか、スマートデバイスのフィールド業務における活用方法など、さまざまな業界の支援へと活動の幅を広げている。

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